皆様こんにちは。着付師のコヤノミツグです。
当ページへのご訪問ありがとうございます
全国で衣裳方として各流派日本舞踊会を中心に活動する傍ら、現代の衣裳(振袖、婚礼衣裳、訪問着など)の着付師としても活動しております。
また、今年からは「きつけ塾こやの」を主宰し、現場を飛び回りながら磨いた実践的な技術を、余す処なくお伝えしております。
さて、皆さんはキモノの種類がいくつあるかご存知ですか?
キモノは着てみたいけど、種類が色々あって何を着たら良いのかわからなくて・・という話をよく聞きます。
洋服なら結婚式の時には女性はドレスやワンピース、白色を着るのはNG、ホテルやゴルフ場にジーンズがNGなどやTPOに合わせて使い分けることをある程度知っている人も多いですよね。
しかし、キモノとなると何を着たらいいのかわから場にふさわしくないものを着ていないかと不安になることもあるかと思います。
キモノには、フォーマル、セミフォーマル、カジュアルと様々な種類があり、着用できるシーンも変わってきます。
そこで、今回は、女性のキモノの種類について解説します。
キモノの格式と種類【フォーマル、セミフォーマル、カジュアル】
キモノの種類は、大きく分けて次の3つに分けられます。
正礼装(フォーマル)・・・留袖・振袖・黒紋服(五ツ紋付)
準礼装(セミフォーマル)・・・訪問着・附下、色無地
カジュアル・・・小紋・紬・浴衣
特記: 江戸小紋や御召など、セミフォーマルにもカジュアルにも両方に相応しいものもあります。
フォーマルなキモノから順番に説明します。
【正礼装 フォーマル】留袖・振袖・黒紋服(五ツ紋付)
フォーマルなキモノ(着物)とは、洋服と同じで特別な場や正式な場面での装いのことです。
結婚式、卒業式、成人式、お葬式など正式な行事に正装として着用できるのが留袖、振袖、黒紋付です。
キモノでフォーマルとされるものは、種類をはじめ色や文様(柄)も様々で、文様には縁起を担いだ謂れのあるものも多く見られます。
京都で染められる京友禅には、豪華な刺繍や金彩加工が施されているのが特徴です。
キモノと同じく帯や小物類にも気を使わなければいけませんが、今回はキモノに絞ってご紹介します。
留袖(黒留袖、色留袖)
黒留袖は最も格式の高い、既婚女性のフォーマル(正装)の装いです。
色留袖もまた同様に正装ですが、紋の数により格式が異なります。
紋がが五ツの場合はフォーマル(正装)。三ツ、一ツの場合はセミフォーマル(準礼装)として着用します。
結婚式や披露宴などのフォーマルなシーンで着用され、新郎新婦の親族や仲人夫人が格の高い留袖を着用することで、お招きしたゲストに感謝と敬意を表すという意味があります。
描かれる柄は縁起の良い吉祥文様などで胸や袖などの上半身には柄がないのが特徴です。
改まったお席に欠かせない留袖は着用すると凛とした気持ちにさせてくれます。
振袖
振袖は未婚の女性が着るキモノの中で最も格式が高いものになります。
成人式や結婚式参列の晴れの日に着用されます。豪華な柄と長い袖が特徴です。
黒紋服(五ツ紋付)
五つ紋付きの黒紋服は一般的には “喪服” と呼ばれます。
喪服と呼ばれているだけに不祝の時にのみ着用されると思われがちですが、それだけではありません。
五ツ紋付である紋服は女性の正礼装となります。
宝塚歌劇団の団員でいらっしゃるタカラジェンヌの皆様は、音楽学校の卒業式や新春口上など節目の正装は黒紋付を着用されます。
2022.11.03
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【準礼装 セミフォーマル】色留袖、訪問者、附下、色無地
セミフォーマルとは、結婚式やパーティー、入学式や卒業式などにゲストとして参加する場合に最も格式が高いドレスコードとなります。
親族の結婚式の場合はいとこ、友人が「セミフォーマル」の装いとなります。
姉や妹の場合は正礼装の留袖や振袖が好ましいですが、準礼装でもよいとされています。
色留袖
フォーマル(正装)でご紹介した色留袖ですが、三ツ紋、一ツ紋の場合はセミフォーマル(準礼装)の場面で着用されます。
訪問着
訪問着は、振袖や留袖の次に格の高いキモノです。
上半身にも柄が入っており、肩から胸や袖にかけて一つの絵のように繋がっているのが特徴です。
フォーマルな場面から観劇等にも着て行くことができる汎用性が高いキモノですが、紋様も多く、とても華やかなキモノ姿になります。
TPO(お立場やシュチュエーションによっての選択)も大切にしたいところです。
附下げ(つけさげ)
附下げは胸元や袖に文様が入り、一見、訪問着と似ているのですが訪問着よりも控えめな文様付けになっているのが特徴です。
附下が生まれたのは昭和初期、戦争に向かうご時世の中、華美な装いが国の方針により禁止されたことをきっかけに作り出されました。
文様付けに特徴があり、「肩山、袖山を中心に裾へ向かって文様を下げ付けた」ことからこの呼び名がきた、「訪問着の格付け下」など諸説あります。
現代の着こなしとしては、格式の高いシーンからお出かけ着まで幅広い場面で着ることができるので、まず礼装着を一着作られるのであれば、附下をお勧めします。
色無地
白生地を単色染めしたキモノです。紋の数や合わせる帯により幅広く着用できるので、一枚あると大変重宝します。
お茶席には欠かせないキモノでもあります。
近頃は模様が織り込まれた「地紋」があるタイプも人気です。
【カジュアル】小紋・紬・浴衣
キモノは特別な日に着るものと思われがちですが、普段着感覚で気軽に、自由に着ることができるのが小紋・紬・浴衣です。
着付けもフォーマルなものよりも気軽に帯結びもアレンジが多く、オシャレを楽しむことができます。
種別としては主に小紋や紬きもの、木綿絣、御召、ウール着などがあり、最もカジュアルな着物として浴衣があります。
小紋(こもん)
小紋は普段のお出かけや生活、会食などのカジュアルな場面で着用されます。
文様が上下の方向に関係なく入り、その柄や大きさ、数もそれぞれです。
小紋は洋服で言うとワンピースにあたると思えばイメージがつきやすく、カジュアルな食事会や同窓会などの場面にぴったりです。
習い事のお稽古着としても重宝します。
紬(つむぎ)
紬は日本各地で伝統的に作られているキモノで、紬糸を用い織られた織物です。
鹿児島県の大島紬や茨城県の結城紬など、全国に多くの産地と種類があります。
各産地の気候や風土によっても着心地が異なります。
浴衣
キモノは全然着ることがないという方でも浴衣は着る方多いですよね。
旅館などの寝巻きとしても用意されていることが多い浴衣は本来、湯帷子(ゆかたびら)というキモノでした。
昔々、入浴する際はキモノを着て入浴していました。このキモノを湯帷子(ゆかたびら)と言います。
江戸中期頃から裸で入浴するようになると、湯帷子は次第に夏のキモノ”浴衣(ゆかた)”となり、入浴後の外出着となりました。
現在、浴衣の素材は綿や麻、ポリエステルもあります。
様々な文様や色も豊富で、帯や下駄とのコーディネートが楽しめます。
浴衣を昼間に着用される時には衿付き(長襦袢)で足袋を履いて夏のキモノとして、夕方以降は衿と足袋を外し、浴衣としての着用をおすすめします。
キモノの格式と種類まとめ
キモノの種類を大きく3つにわけ、計9種類のキモノをご紹介しました。
日本の歴史や文化を反映した美しいキモノは、多くの職人方の技術が必要な日本を代表する衣服です。
様々なキモノを季節やシーンごとに楽しみ、奥深く魅力的なキモノを彩り豊かに日常に取り入れ過ごしていってくださいね。
本日も最後までお読みくださりありがとうございました。
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衣裳方 古谷野 貢
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