キモノの“紋”ってなに?知っておきたい紋の種類・技法・格の基本

キモノの基礎知識

皆様こんにちは。
岡山県倉敷市にて着付け塾を主宰しております古谷野貢(コヤノミツグ)です。

全国で衣裳方として各流派日本舞踊会を中心に活動する傍ら、現代の衣裳(振袖、婚礼衣裳、訪問着など)の着付師としても活動しております。

2023年からは「きつけ塾こやの」を主宰し、現場を飛び回りながら磨いた実践的な技術を、余す事なくお伝えしております。

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みなさんは、きものに入った「丸い模様」、つまり「紋(もん)」について意識されたことはありますか?

「家紋」という言葉は聞いたことがあっても、それがきものにどのような意味を持ち、どんな種類や技法があるのかは、意外と知られていないかもしれません。

今回は、そんな「紋」について、歴史や種類、そしてその意味合いまで、少し掘り下げてお話ししてみたいと思います。

家紋が用いられるようになったのはいつから?

家紋の起源には諸説ありますが、一般的には平安時代末期、皇室が「菊の御紋」を使い始めたのが最初とされています。

その後、公家たちは自分の持ち物を他と区別するため、また一種の装飾として、調度品や衣類に紋を入れるようになりました。いわば“おしゃれ”と“識別”の両方の役割があったのです。

やがて武士の時代になると、紋は家の象徴としてより強い意味を持つようになります。戦場で敵味方を判別するため、甲冑(かっちゅう)や旗指物、刀の鞘などに紋が用いられました。

また、紋は兵たちにとって「心の拠り所」となり、命を懸けて守るべき“家の誇り”を示すものでもありました。

江戸時代に入ると、家紋のデザインがさらに洗練され、より優美で簡潔な図案が多く生み出されました。

武家や町人たちの間でも広く浸透し、やがて衣服や装身具にも紋が入れられるようになります。現代に至るまで、紋は式服(振袖、留袖、喪服など)に欠かせない要素として受け継がれ、訪問着や羽織など、略礼装にも使われています。

キモノの紋の種類

キモノに入れられる「紋」は、大きくは“家紋”をもとにしたものがほとんどです。

これは、その家の象徴として代々受け継がれてきたもので、家の格式や家系を表す役割があります。

日本には、およそ4,000種類以上の家紋が存在するとされており、その図案は植物や動物、器物、幾何学模様など実に多彩です。

中には同じような図案でも線の太さや形が微妙に異なり、それぞれに異なる家の由来を持っている場合もあります。

一見するとただの模様のように見えるかもしれませんが、紋が持つ意味や背景には歴史と文化が凝縮されており、そこに日本人独特の美意識が表れています。

現代のきものでは、家紋の中から格式や場面に応じた紋を選び、礼装としての役割を果たしています。

どんな技法で、どのように表現し、いくつ入れるかによって、同じ紋でも格が変わる・・・その違いを知ることもキモノを着る上で知っておきたいですよね。

紋の技法

キモノに施される紋は、その入れ方によって格や印象が大きく変わります。

どのような場にふさわしいか、どんなこだわりを込めるかによって、技法を選ぶことも大切です。

ここでは、代表的な紋の入れ方と、それぞれの特徴についてご紹介します。

【染め抜き紋】

紋の形を白く染め抜く技法、最も格が高い家紋の入れ方が染め抜き紋です。

紋を色で染める技法は染め紋と呼ばれます。

【縫い紋】

好みの糸を使って刺繍で入れる紋を縫い紋といいます。

金糸、白糸を使うと慶事向け、縫い方の違いで雰囲気が変わり、おしゃれ感覚で楽しむ方も増えています。

【貼り付け紋】

その他に、あらかじめ着物と同じ素材の生地に紋を染め、後からワッペンのように貼り付ける紋です。

レンタル着物に多く用いられています。

紋の表現形態

紋は「どのように描かれるか(見せるか)」によっても、その格や印象に違いが生まれます。

同じ家紋であっても、描き方ひとつで装いの雰囲気が変わるのが、きものの奥深いところ。ここでは、代表的な三つの表現方法をご紹介します。

【日向紋】

最も格が高い日向紋(陽紋) 紋全体を白抜きして模様を付けます。

はっきりと明るくみえることから陽紋とも呼ばれ、正式礼装は必ず染め抜き日向紋になります。

【中陰紋】

紋の型を太くなぞり模様部分は省きます。

【陰紋】

中陰紋の型の線をさらに細くし紋を輪郭だけで表します。

陰紋は日向紋の略称といて位置づけられ格としては日向紋に劣り冠婚葬祭で着用することはマナー違反になり、線が細くなるほど略式の表現になります。

紋の数について

キモノに入れる紋は、種類だけでなく「数」も大きな意味を持ちます。

紋の数は、そのきものがどのくらいフォーマルかを表す大切な指標であり、着る場面に応じて選ぶ必要があります。

ここでは、一つ紋・三つ紋・五つ紋それぞれの意味や格についてお話しします。

【一つ紋】

背紋一つが入ります。紋なし着物より格が高く、お茶会や友人の結婚式など少しフォーマルなシーンにふさわしく、訪問着や色無地など幅広く着用でき略礼装、準礼装になります。

【三つ紋】

背紋一つと袖紋二つが入り色留袖、訪問着などにつけられます。
色無地に三つ紋をつけると準礼装の中でも格が高くなります。

【五つ紋】

背紋一つと袖紋二つ、抱き紋二つが入り、正礼装である黒留袖、黒紋服(黒喪服)は必ず五つ紋となります。

※黒の五つ紋服を、葬儀で着用したら「喪服」と呼ぶため、正式名称は「黒紋服」

*背紋(せもん)・・・ご先祖様にお守り頂く
*袖紋・・・親戚、兄弟姉妹との繋がり
*抱き紋・・・ご両親を思う願い

紋の場所にも言われがあり五つ紋のきものは「お守りのきもの」と言われています。

男紋と女紋

紋には「男紋」と「女紋」があるとされる地域もあります。なかでも女紋の風習は関西に多く見られ、東京・九州・東北ではあまり聞きません。

【男紋】

男紋とはいわゆる家紋のことです。その家の紋になり墓石やお仏壇にも入ります。

キモノに入れる場合は一寸(約3.5cm)の少し大きめの紋になります。

【女紋】

母から娘に女性のみに代々受け継いでいく紋のことです。

関西に多くのこる風習で一般的な家紋とは別に女性が自分の紋として持っていたものです。女性の実家の紋ではなく「女性の実家の母の紋」というのがポイントです。

関西では入婿の習慣があったため、家を継がせるのは女子という風習から根付いたという説や自分の財産の所有を示すために調度品などにつけたなどとも言われています。

黒留袖などの礼装にも入れることができ、紋のサイズは男紋より小さめの5分5厘(約2cm)になります。

まとめ

キモノに紋を入れることは正・略の格付けに影響を与える要素になります。

最後に格が高い順に並べるとこのようになります。

【技法】染め抜き紋>縫い紋>貼り付け紋
【表現】日向紋>中陰紋>陰紋
【紋の数】五つ紋>三つ紋>一つ紋

第一礼装となる色留袖や黒紋服は染め抜き日向紋の五つ紋が一番格が高く、準礼装でしたら訪問着や色無地に陰紋の一つ紋というようになります。

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    個人情報保護マネジメントシステムは定期的に見直し、継続的な改善に努めます。

    制定:2022年11月1日 古谷野 貢

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