着付け道具〜キモノを着るために必要な小物〜

着付けについて

皆様こんにちは。

岡山県倉敷市にて着付け塾を主宰しておりますコヤノミツグです。

全国で衣裳方として各流派日本舞踊会を中心に活動する傍ら、現代の衣裳(振袖、婚礼衣裳、訪問着など)の着付師としても活動しております。

また、今年からは「きつけ塾こやの」を主宰し、現場を飛び回りながら磨いた実践的な技術を、余す事なくお伝えしております。

さて、本日はよく皆さんからご質問がある「着付け道具」について書きたいと思います。

キモノに魅力を感じられる方は、一度は自分で着付けをして出かけてみたいと思われる方も多いでしょう。

しかし「自分で着付けをする技術がない」「専門家に着付けてもらいたいけど、その準備に何が必要かもわからない」という方も多いのではないでしょうか。

キモノを美しく着るために、日常では使わないキモノならではの小物がたくさんあります。

この小物類を知っておくと、着付けを頼む時にも何を準備しておくべきかわかります。

今回はキモノを着る時に必要なもの、これさえあれば大丈夫!という小物を順を追ってご紹介していきます。

キモノの小物

キモノの小物には、二つのカテゴリーが存在します。

①着付けを支える小物
②装飾を彩る小物

それぞれの小物はキモノを美しく着るために欠かせない役割を果たします。

しかし、一般的には何が必要でどのように使用するか、その役割についてはあまり知られていません。

着物を着るための「着付け小物」と、人々の目を引きつける「装飾の小物」の両方をご紹介します。これらを理解されることで、キモノの魅力をより身近に感じて頂けることでしょう。

着付けを支える小物

着付けを支える小物というのは一般的に「着付け道具」のことです。足袋以外はキモノを着用した際にはすべて隠れるもので、表に見えるものではありません。

  • 足袋
  • 和装ブラジャー
  • 肌襦袢
  • 裾除け
  • 補整各種
  • 腰紐
  • きものベルト(クリップ付)
  • 伊達締め
  • 衿芯
  • 帯板
  • 帯枕

足袋(たび)

足袋は和服を着る際に履く靴下のようなものです。

キモノに慣れていない方は驚かれるかもしれませんが、足袋はキモノを着る時の準備の中で、最初に身につけるアイテムとなります。

足首についたフックは「こはぜ」といい、数によって4枚こはぜ、5枚こはぜと呼ばれます。

和装ブラジャー

和装ブラジャーとはその名の通り、キモノを着る時用のブラジャーです。

一般的な洋装用のブラジャーは胸の凹凸を強調する仕様であるのに対し、和装用は胸の凸凹をなだらかにし、衿から帯にかけての美しいラインの土台を作ります。

お持ちでない場合は、ワイヤーの入っていないブラトップで代用できます。

ワイヤーが入っているブラジャーを着用したままキモノの着付けをすると、ワイヤーが押し付けられ痛い場合があるため、代用はブラトップのご用意をお勧めします。

肌襦袢(はだじゅばん)

肌襦袢は、着物の一番下に身につける下着の一種です。

肌に直接触れ、汗などを吸収してくれます。また、着物の摩擦から肌を守ったり、着物の透け防止にも役立ちます。

素材や季節に合わせて選ぶことで、一年中快適に着物を楽しむことができます。

裾除け(すそよけ)

裾除けは、着物の一番下の下半身に着用するアイテムで「蹴出し」とも呼ばれています。

長さは足首まであり、腰巻きタイプ・パンツタイプ・スカートタイプなどがあります。

足さばきをよくし、足回りの素肌の擦れを抑える役割もあります。

補整各種

補整は、体の凹凸を調整して寸胴なシルエットを作り出す役割があります。

胸、腰、お腹などが補整できずにキモノを着るとシワや着崩れの原因になります。

ウエストのくびれや腰回りなどをそれぞれの部位に合わせ、なだらかに整えるのが補整です。
市販されている補整の代わりにタオルを代用することもあります。

腰紐

キモノや長襦袢を着るために必要になるのが腰紐になります。帯結びも仮紐として後で外すのですが一時的に使うこともあります。

モスリンというウール素材や綿などの天然素材で滑りにくいものをお勧めしております。最近ではきものベルトも使いやすいと言われています。

個人差はありますが3~4本あると安心です。

きものベルト(クリップ)

コーリン社が発売するコーリンベルトが有名ですが、調整ゴムベルトの両端にクリップが付いたものです。

長襦袢やキモノの衿を留め、衿合わせを決めて着崩れを防げる便利な道具です。

クリップ部分がプラスチックのものとステンレスのものがあります。

プラスチック製は経年により破損しやすいので私はステンレスタイプをおすすめします。

1〜2本あれば充分です。

伊達締め(だてじめ)

腰紐とは違い、幅 7〜10cmの広めのものになります。

キモノや長襦袢の衿合わせやおはしょりを押さえるための帯状の紐です。

マジックテープがついているものや、何もついてない伝統的な伊達締めがあります。

素材は正絹、化学繊維、綿、麻などがありますが、おすすめは正絹博多織の伊達締めです。

衿芯

衿芯は、長襦袢の衿部分に差し込んで使う補強材のことです。

主な役割は、衿の形を美しくし、衿元をピシッと整えます。

柔らかいもの、硬いもの、メッシュになり通気性があるものや厚みのあるものなどそれぞれの特性を持っています。

衿芯は硬すぎると着付けの際に身体への添いが悪いので、適度に柔らかいものをおおすすめします。

しかし、柔らか過ぎても芯の意味を成しませんので購入の際に不安な場合は専門家(呉服店や着付師)に尋ねるといいでしょう。

帯板

帯板は帯の下や間に入れて使う板です。

お腹側に入れる「前板」と背中側に入れる「後ろ板」があります。

帯にシワができないようにする役割や帯結びを綺麗に見せる役割があります。

帯枕

帯を結ぶ土台を補助する道具です。帯が崩れることなく後ろ姿を保ってくれます。

厚みがあるものや薄いもの、大小サイズもさまざまです。

一重太鼓でしたら普通サイズ、礼装(や正装←消す)でしたら厚みのある大きめの帯枕が良いです。

紐で結ぶタイプやガーゼ付きタイプなどがあります。身体が楽なのはガーゼの紐タイプです。

【補足】長襦袢

長襦袢は道具ではなく、肌襦袢・裾よけの上、そしてキモノの下に着用する、洋服でいうインナーです。

汗や汚れから生地を守り、着崩れ防止の効果もあります。

またキモノの裾さばきをよくし、袖口や裾からチラリと見えるとそこにおしゃれさを感じるポイントにもなります。

長襦袢はフォーマルとカジュアルがあり、季節によっても着わけをします。

*長襦袢を着ないという方も最近はいらっしゃいますがフォーマルな場では必ず着用するものと思ってください。

装飾の小物

次に装飾小物をご紹介します。こちらは着用する時に必要なものではなく、キモノをより着飾るため、個性を出すために選び、コーディネートするものです。

キモノは洋服と違い、形と構成されるパーツは同じです。そのため、小物でアレンジすることで個性を出し、おしゃれを演出します。

フォーマルなものだとアレンジも幅はひろがりませんが、カジュアルな装いの時には自由度は高いです。

そのアイテムを下記に挙げてご説明しますね。

  • 半衿
  • 帯揚げ
  • 帯締め
  • 帯どめ
  • 草履
  • バッグ
  • 髪飾り

半衿

襦袢の衿につけ、襦袢の首元、肌に触れる部分が汚れないようにするための小物です。

半衿が覗くのは少しですが、正面から見えるので重要なアイテムになります。

薄物に合わせる夏の半衿とそれ以外の袷の半衿の2種類があり、夏には麻や絽、袷には縮緬や塩瀬など季節にあった素材を選びます。

また刺繍がされているものもありおしゃれさと豪華さを演出できます。

帯揚げ

帯揚げは帯を巻いた後に帯を固定した帯枕の上にかぶせて使用します。

素材、色、模様が豊富にあり、着物や帯との調和が楽しむことができ、帯と一緒に見える部分であるため、全体のコーディネートに影響を与えます。

また帯揚げの色やコーディネートをすることで同じキモノであっても違った印象を与えることができる重要なアイテムです。

帯締め

帯の形が崩れてしまわないように、帯の上から締めておく紐です。

素材や柄、色などさまざまな帯締めがあります。

「平組」の帯締めはキリッとした印象になり「丸組」の帯締めは柔らかい印象を与えると言われます

キモノや帯に合わせたり、帯揚げの色とのバランスでコーディネートを楽しむことができます。

帯留め

帯留めはその人らしさや季節を表してくれる小物になります。

帯留めは必ずしも着付けに必要な小物ではなく、オシャレ演出の装飾品です。なくても問題はありません。

洋服で言えばイヤリングやブローチのようなものというとわかりやすいでしょうか。裏側に金具がついているので、そこに帯締めを通し使います。

宝石や真珠を使った豪華なものからお手頃なものまであり、TPOに合わせて選びます。

草履

草履は、日本の伝統的な履物で、着物や浴衣と合わせて使用されます。

平坦で、前部にV字型の鼻緒が取り付けられています。

草履は「足袋」と共に履くものです。

種類や素材は着る着物やシチュエーションによって変わり、見た目の美しさだけでなく、歩きやすさも重視されます。

バッグ

和装バッグとも言われ、草履とセットのものはデザインが統一されて販売されているものも多いですが、必ずしも統一していなくても構いません。

格の高いキモノを着る時は礼装用のもの、振袖や訪問着には華やかなものを選びます。

マチのあるバッグはいろいろなものが入れられますし、袴などでしたら、巾着型のバッグもおすすめで、キモノとの相性を考えると互いに引き立ちます。

バッグに関してはキモノだから和装用バッグしか持ってはいけないというわけではなく、キモノとの相性が良ければ洋装バッグでも構いません。

TPOにも合わせることも忘れないようにしましょう。

髪飾り

和装の髪飾りも、古典的なかんざしやつまみ細工から造花などを使用したモダンなものまで幅広くあります。

成人式や卒業式にはドライフラワーや造花など華やな髪飾りにされる方も多いです。

ヘアアレンジに合わせて選びます。

まとめ

キモノの小物を「着付けに必要な小物」と「装飾に必要な小物」の2つに分けてご紹介しました。

着付け小物は衿芯や帯板など、キモノを美しく着こなすために必要不可欠なもの、

一方、装飾の小物は半衿や帯留めなど、キモノのスタイルをさらに華やかに演出するアイテムです。

これらの小物はキモノの魅力を最大限に引き立てる大切な要素です。

素敵な小物を取り入れ、キモノライフをより楽しんで下されば幸いです。

本日も最後までお読みいただきありがとうございます。

衣裳方 古谷野 貢

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    個人情報の処理を協力会社に委託する場合は、選定基準に則り、十分な個人情報の保護水準を満たしている会社に委託いたします。
    個人情報保護マネジメントシステムを実行するにあたって、個人情報に関する法令、規範及びガイドラインなどを遵守いたします。
    個人情報保護マネジメントシステムは定期的に見直し、継続的な改善に努めます。

    制定:2022年11月1日 古谷野 貢

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