日本舞踊を習っている方にこそ学んでほしい舞踊着付け

日本舞踊着付け

皆様こんにちは。

岡山県倉敷市にて着付け塾を主宰しておりますコヤノミツグです。

全国で衣裳方として各流派日本舞踊会を中心に活動する傍ら、現代の衣裳(振袖、婚礼衣裳、訪問着など)の着付師としても活動しております。

また、今年からは「きつけ塾こやの」を主宰し、現場を飛び回りながら磨いた実践的な技術を、余す事なくお伝えしております。

今日はどんな方が日本舞踊着付けを学ばれているのか?という点についてよく質問をいただくのでそのお話をしようと思います。

結論から先に言うと、「ご自身が日本舞踊を習っている方」が非常に多いです。

その理由はなんでしょうか。

日本舞踊を習っている方が学びたいと思う着付け技術

ご自身が日本舞踊を習っている方は

「あの帯結び、どうやってるんだろ?」と思ったことはありませんか?

舞台に立つときに衣裳屋さんへ衣裳と共に着付けを手配した時には、衣裳と共に衣裳方(着付師)が会場へ来て支度(準備・着付け)をします。

衣裳方(着付師)が着付けをするので帯結びの完成形は知っていても “結び方” はご存じない方がほとんどです。

しかし、舞踊会の内容によっては自前の衣裳で踊られる機会も多く、その場合は衣裳方へ着付けの依頼をしない限りはご自身達で着付けをされることになります。

しかし、『あの着姿』『あの帯結び』を見た目(写真など)と記憶だけで再現しようにもできないのです。

舞踊の“角出し“の結び方がわからない

代表的な “角出し” という帯結びがあります。舞踊の “角出し” と現代キモノの “角出し” は違います。

見た目は、結べそう(作れそう)…しかし、舞踊着付け、帯結びは特殊技術のため、再現するのは簡単ではありません。

私が技術指導をいただいている舞踊着付けの師匠は、定期的に『舞踊着付け専門講座』を開講していますが、会場には多くの見学者が各地よりお越しになります。

そこには日本舞踊の各流派のお師匠さん、その幹部の方、日本舞踊を習われている方、はたまた楽屋に着付けのお手伝いに行かれている美容師の方だったりと、業界の方が多くお見えになっています。

そして皆様、口を揃えてこう仰います。

『舞踊の“角出し“の結び方がわからなくて』と。

舞踊の着付けをできるようになりたい

このように、舞踊をされているご本人が舞踊の着付けを知りたい、学びたい、と来られる場合が多いです。

舞踊会の内容によっては自前の衣裳で踊られる機会も多く、その場合は衣裳方へ着付けの依頼をしない限りはご自身達で着付けをすることになります。

しかし、知識と技術がないとご自身達で着付けをすることは難しいのです。

現在、衣裳方として一緒に活動するメンバーの中でも同様のきっかけの方が多くいらっしゃいます。

一般着付けの方法で日本舞踊の着付けもできるのか

さて、ここで大きな疑問をお持ちだと思います。

一般的なキモノの着付けが日本舞踊の着付けもできそうなものではないのか?

結論を言えば

「できる部分もあるが、できない」

以前のコラムにも書いたように、日本舞踊の衣裳着付けは職人の特殊技術な部分が数多くあります
現在一般的にされる着付けとは根本的に違います。

日本の民族衣裳であるキモノなのに何が特殊で、どこが違うの?と思われるかもしれませんが、現在の着付け方が主流になったのは近年のことなのです。

戦後、高度成長の時代から、もっとキレイに!もっと楽に!を着付けに携わる大先輩方が創意工夫してこられたのが今の着付け方です。

歌舞伎や日本舞踊の演目に見られる時代ものの衣裳を着るには時代考証、時代背景にのっとった着付けをするのです。

昔には、現代で使っているような着付け道具などの便利なものはもちろんありませんでしたので、道具を使わない着付けとなるのです。

日本舞踊衣裳の着付けは職人の特殊技術

400年以上継承された歌舞伎舞踊の着付けを正しく継承する事が大切です。

気にしなければ “たかが着付け“ かもしれません。

しかし、帯の巻き方一つ誤るだけで歴史が変わってしまうのです。

また、舞台に立たれた役者が醸し出す、あの得も言われぬ雰囲気がありますよね。

それを良くも悪くも演出してしまうのに『着付け』が重要であることは言うまでもないでしょう。

『事実に基づいたことを正しく再現するための学びをして、日本人特有の美的センスを表現するための技を習得する』

このことから、私は日本舞踊の着付けを『職人の特殊技術』と表記しました。

堅苦しそうで、重々しい表現になってしましましたが、やればやるほどに奥が深く、本当に面白い世界です。

日本舞踊の着付けは理にかなっている

学びを始めると日本舞踊の着付けって驚くほど理にかなっていることに気づきます。

普段の現代衣装(キモノ)の着付けをしている中では考えたことのないことが多く「なるほど!」のオンパレードです。

私は、学びが楽しいなんて学生時代にはこれっぽっちも思ってませんでしたし、ましてや歴史は大の苦手だったのですが…

だからこそ、今、苦労しているところですが…楽しく苦労してるのでヨシとしましょう…笑

舞踊着付けの技術者が失われゆく

生活様式の多様化や近年の急速な時代変化に伴った価値観の変化による需要の変化により

『失われゆく〇〇〇』

伝統工芸、伝統産業等において悲しい現実を耳にすることが多いです。

何を隠そう、私は“着付け師“の他にもう一つの生業があります。

それは “キモノの創作” です。

京都の職方と共に染め上げる手創りのキモノである本京友禅を創作しているのですが、厳しい現実を肌で感じています。

これは伝統芸能においても言えることです。

何かが衰退すると付随する業種全てが連鎖的にダメになります。

着付師も然り。

日本の “伝統” が無くなることは絶対にないと信じていますが、減少衰退していく事は目前に見えている現実なのです。

きつけ塾こやの 始めました

『職人=プロ』

現場で実践されているプロの技を楽しく学べる場所があったらワクワクしませんか?

舞踊着付けの技術は通常、衣裳屋さんに就職して長年の仕事の中でしか身に付けることはできません。

また先にも書きましたが

『失われゆく伝統の技術を一人でも多くのキモノファン、着付けファンにお伝えする重要なミッション』

師の「伝統を正しく継承していく」という “想い” と継続してこられた “使命” に共感し、全国で5例目となる舞踊着付けをお伝えする教室を、2023年4月より岡山県倉敷市にて始めました。

舞踊着付けの基本から始まり、細かく設定された講座を楽しく運営していきたいと考えています。

きつけ塾のカリキュラム〜基礎編〜

はしょりの着付け、町娘、細帯各種、各流派の後見帯、角出し、一文字、男帯、袴各種、舞妓芸妓の引き着、芸者、など講座は多岐にわたります。

きつけ塾のカリキュラム〜実践編〜

基礎がひととおり終わると次は実践編です。

実践編ではより具体的な着付け実技を学びます。

花魁、あずまからげ、禿、琉球衣裳、武士の裃、女賭博師などなど

舞踊会の現場にて出くわす無理難題…笑

例えば、『六通柄の一般的な袋帯をお持ちになり、角出しのご依頼』で長さが足りない上に、柄の制限がある(通常、角出しを結ぶ帯は全通柄で長さもかなり長く仕立ててあります)

しかし『できません』では話になりませんので、『なんとかします』笑

これをちゃんと舞踊の角出しに仕上げることができます。

実践編で様々な衣裳の状況に即座に対応するための技術の引き出しを増やします。

学びに終わりはありませんが、やればやるほどに面白くなります。

舞踊をされている方はもちろん、ご家族やお知り合いに自らの手で本物の着付けができる
これは素晴らしいことです。

身内だけでなく外部の現場での実践

身内だけでなく外部の現場へ出向いての実践もあります。

舞台を成功させるべく、役者を盛り立て、観客を魅了するパフォーマンスの一翼となる、あの現場の雰囲気を一度経験すると何にも変えられない達成感と満足感を得ます。

ぜひ体感していただきたいです。

少人数制での塾でじっくりとお伝えします

世間の着付け教室には大人数の方に1人の講師というものも多くあります。

しかし、個性は様々、ペースも様々、それが当たり前です。

舞踊の着付けは専門性が強い分、大人数を対象にした教室には無理があります。

衣裳方の着付けはモデルさんを前後で挟んでこう呼び分けます。

前で仕事をする者を ”前方(まえかた)”
後で仕事をする者を ”後方(うしろかた)”

前後で挟んで一気に着付けを完成させます。

早く、美しく、踊りやすい仕上がりにするには前後の阿吽の呼吸が求められます

そのため、1人の講師に対して生徒さん3人までが理想ではあります。

もちろんお1人でも着付けのお稽古は可能です。

モデルさんが必要な回ばかりではありませんが、モデルさんが必要な場合でお連れできない時にはモデル料金はかかりますが、こちらで手配できます。

しかし、ご自身がモデルになって着付けられる体感はかなり重要なお勉強になりますので、ぜひモデルの経験もしていただきたいと思います。

また、舞踊着付けを習いたい!学んでみたい!と思っている方の中には、日中のお仕事をされている方も多いと思います。

基本的に曜日は固定で決める予定ですが、各々のご都合に合わせ、平日昼間や夜間、土日のお稽古にもできる限り対応していきたいと思っております。

まずはお問い合わせ下さい

舞踊着付けを学んでからお客様の感想が変わった

私の体験談を一つお伝えしたいと思います。

私は普段、舞踊の着付けの他にも一般のキモノの着付け(成人式、婚礼、入学卒業、七五三など)の仕事もお受けしております。

衣裳方の学び、舞踊の現場へ出始めた頃から、一般のキモノの着付けをさせていただいたお客様からいただく感想の内容が断然良くなりました。

それまでも、もちろん苦しい着付けはしてきてはいなかった自負はありますが、明らかな変化でした。

「一日中楽でした」
「朝送り出した娘がそのままの着姿で帰ってきましたよ」

というお言葉を多くいただくようになったのです。

さらに、一番驚いたのは一日終えた後のお客様の着付け具合が気になり、夜に連絡をしたら

「まだ着てます、脱ぐのが勿体無くて」

!!!!

勿体無い!!!!

全ての方に感想を尋ねられてはいませんが、感想の内容が以前と変わったのです。そして、リピートしてくださいます。

本当にありがたいです。

これも全て、腰紐の当て方から徹底的に見直せる舞踊着付けの学びに由来していると思われます。

終わりに

私が着付けの道に入って20年、舞踊着付けの道は10年になりました。

お稽古に継続することが大事です。努力もそしてお金も必要です。

しかし、お金には変えられないモノを得ることができます

それが何か??は皆様それぞれに違うことかと思いますが、私は本当に良かったと振り返ります。

まだ私自身も道半ばです。私自身も学びを続けながら、当教室で学んで下さる皆様と技術を共有していきたいと思っております。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました

きつけ処こやの
衣裳方 古谷野貢

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    ■個人情報保護方針

    着付師KOYANOは着付けの依頼・着付け教室を行う上で個人情報を取得、利用、管理することがあります。「情報」の取り扱いについては、その重要性、安全性、正確性において常に高い意識を持って、取り組まねばなりません。当社は社員一体となり、人権尊重・法令遵守の精神を持って「個人情報」の適切な取り扱いを実現いたします。
    個人情報を取り扱う管理責任者及び体制を明確にし、個人情報を適正に管理します。
    ホームページなどから収集する個人情報については、収集の目的及び利用の範囲を限定し、適切な手段で行います。
    個人情報を保護するため、当該情報への不正アクセス、紛失、破壊、改ざん、漏洩などのリスク策として、社内教育の徹底、セキュリティ管理体制の構築をもって、合理的で適正な安全対策を講じます。また、迅速な是正処置を実施します。
    個人情報の処理を協力会社に委託する場合は、選定基準に則り、十分な個人情報の保護水準を満たしている会社に委託いたします。
    個人情報保護マネジメントシステムを実行するにあたって、個人情報に関する法令、規範及びガイドラインなどを遵守いたします。
    個人情報保護マネジメントシステムは定期的に見直し、継続的な改善に努めます。

    制定:2022年11月1日 古谷野 貢

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