皆様こんにちは。着付師のコヤノミツグです。
岡山県倉敷市より中四国地方を中心に、衣裳方として各流派日本舞踊会で活動する傍ら、現代の衣裳(振袖、婚礼衣裳、訪問着など)の着付師としても活動しております。
それと同時に今年からは「きつけ塾こやの」を主宰し、現場を飛び回りながら磨いた実践的な技術を、余す処なくお伝えしております。
さて!
この度は日本舞踊に携わる皆様へ向けてのコラムでございます!
各流派のお師匠様、また日舞を楽しんでおられる皆様、ぜひご一読くださいませ。
今年こそ!日本舞踊の舞踊会を再開
2020年より新型コロナ感染症が猛威をふるい、はや3年が過ぎました。
得体の知れない流行病に、私たちは日常の行動制限を余儀なくされました。
日本舞踊界もまた例外ではなく、公演会の中止が相次ぎ、皆様からは、『早く踊りたい』とのお声をよくお聞きしておりました。
2023年になりようやく落ち着きを見せ、5月より新型コロナは5類に移行されたことで、ようやく日常が取り戻されようとしています
いや〜、長かった、本当に・・・
もちろん、まだまだ油断はできませんが、踊りに興じていらっしゃる皆様も舞踊会に向けて、ウズウズしていらっしゃるのではないでしょうか。
今年こそ日本舞踊の舞踊会を!と考えているお師匠さんも多いと思われます。
実際に2023年になり、舞踊会の予定も増え、数年ぶりの開催!なんてお声も度々耳にします。
どの流派でも舞踊会を開催されるにあたり、演目の決定とともに衣裳の選定も重要になってきますよね。
今日は日本舞踊の舞踊会での「着付け」について書いていきたいと思います。
日本舞踊の舞踊会の着付けの手配について
舞踊会の内容によって、衣裳を衣裳屋さんへ手配、または自前の衣裳など、様々です。
衣裳屋さんへ手配された場合には衣裳と共に衣裳方が会場へ来られてのお支度になるかと思いますので、着付けの心配はないですね。
しかし、自前の衣裳の場合にはどうでしょうか。
社中関係者の着付けができる方や美容師さんがお手伝いに入られる場合がほとんどのように思います。
しかし、一般のキモノの着付けと舞踊専門の着付けは違います。
舞踊の着付けを依頼する時には「する側」「される側」で違いについてしっかり考慮しておく必要があります。
一般着付けと舞踊専門の着付けのちがい
生活の中の一般着付けと日本舞踊専門の着付け、一見すると同じ形のキモノですので、着付けも同じようにできると思われがちですが、実は違います。
根本的に普段目にするキモノと舞踊のときのキモノは着方が違います。
日本舞踊は演目・役柄に合わせた着付けが必要
日本舞踊には様々な演目があります。そして、演目・役柄に合わせ着付けも変わるのです。
例えば、補整の入れ方、衿の合わせ方、衣紋の抜き方、腰紐の位置などが変わります。
また、キモノだけでなく、帯の巻き方、高さや角度も違ってくるのです。
そして、このような着せ方の決まりごとだけでなく最も大切なことがあるのです。
舞踊着付けとは「魅せる着付け」ができるかが最も重要
演目や役柄に合わせて着付けが変わるのはもはや当たり前のことで、それは映画やドラマなどをご覧になっていても少し理解できるところがあると思います。
ただ、映像作品と違って日本舞踊の舞踊会は生の舞台です。舞台の上でお客様からどう見えるか、
「魅せる着付けができているか」
これがものすごーーーーーーく重要なのです。
観客から一目置かれる着姿を作り上げる技術は、着付けができればいいという技術とはまた別のものです。
着付師人生をかけて磨いていく必要があると言われるほどプロの技なのです。
【ちょっと余談ですが・・・日本舞踊着付師のプロになるには】
私自身は29歳の時に舞踊着付けの道に入りました。一般着付けは18歳の時からしておりますが、舞踊着付けの道に入ってからはまだ10年です。
舞踊着付けを始めた頃、師匠には『現場で仕事に入るまで10年かかるよ』と言われ取り組み始めました。
そして、師匠の予定より2年早く、8年目に現場デビューすることができました。(自分で言うのもあれですが、ちょっとだけ優等生だったようです笑)
現場に入りたての私に師匠がおっしゃったことが今でも忘れられません。
『30年やってやっと気づけたことがあるよ、石の上にも3年?いやいや石の上にも30年ですね』
師匠がそう言うくらいの世界なんです。はい。。。まだまだ頑張ります!
専門性の高い着付けであることを理解して依頼しないといけない
さて、少し話が飛んでしまいましたが、ここで一番伝えたいことは舞踊会の着付けの依頼を誰にするかということです。
演目や役、立ち回りを理解した上で、どの角度でも美しく着姿が映えるかはもちろん、動きやすさも兼ね揃えなければいけません。
これは「着付け」だけを知っていてもなかなか再現することはできません。
ゆえに、日本舞踊の着付けというのは『非常に専門性の強い着付け』であり、日本舞踊専門の着付師がいるというわけです。
ですので、自前の衣裳で舞踊会を開催される際に着付けを依頼する時は日本舞踊専門の着付師に依頼するのが一番よいということです。
もし、専門の方でない場合は通常の着付け(一般着付け)とは全く違う着付けを依頼しているということを理解した上でご依頼されるようにしてください。
それは依頼する側だけでなくされる側の方にとっても大切な配慮なのです。
皆様の身近な舞踊専門の着付師(衣裳方)でありたい
一般着付けと舞踊着付けの違いを書いて参りました。
要するに、日本舞踊の着付けは専門家にお願いした方が絶対に良いですということです。
『いや、でもわざわざ手配するなんて…そんな知り合いもいないし…』
という方のために私コヤノミツグがおります(笑)
お知り合いに声をかける感覚で呼べる衣裳方がいたらいかがでしょうか?
ぜひ一度、私にお声掛けください。
お着付けの料金や経費は必要となりますが、フリーで活動しておりますのであらゆる面で気軽かと思われます。
私は岡山県倉敷市から活動をしておりますが、電話一本で中国地方はもとより四国方面、関西方面や九州方面へ出向いての活動をさせていただいております。
2023年、現在39歳。
まだまだ力不足な技量ではございますが、某老舗衣裳屋様の一流の技術を真に引き継ぎながら日々研鑽しております。
私のモットーは『人様と仕事に真摯に向き合う』
演者様より求められる着付け、必要とされるサービス、ちょっと手が届かない痒いところに手を伸ばせる「孫の手」のような衣裳方でありたい思っております。
終わりに
衣裳方として、そして呉服に関わり切実に感じることがあります。
それは人とモノが溢れた時代は終わりを迎えつつあるということです。
人不足、物不足が急激に進み、食糧難なんて、これまで想像もしなかった時代が迫っているように感じます。
これからの時代だからこそ、真に求められるものは『心で感じるもの』なのではないでしょうか。
人は自然と涙が流れる瞬間、『心を動かされている』のです。
ドキュメンタリー、親子の感動実話、人と動物の絆などの映画や映像、生の舞台を見た時に「心が喜ぶ」感覚というのは、いつの時代も変わらないものです。
私は、400年以上の歴史を受け継いできた歌舞伎舞踊が、今後も日本の奥ゆかしい文化として引き継がれるための一翼を担いたく思っておる所存です。
日本舞踊に勤しまれ、日々お稽古を積んでこられた皆様の晴れ舞台を作り上げるお手伝いをしていくことが私の役目です。
そして、演者様だけでなく、観に来られたお客様にも心から喜んでいただけるよう『人様』とのご縁を大切に『心』を込めて頑張ってまいります。
カッコつけたことを書いてしまいましたが
『ただ、舞踊着付けが好き』
本当に単純に心から大好きなんだと思います。
そして、日本舞踊に関わる方の “想い” を間近で見れることも大好きなのです。
最後までお読みくださりありがとうございました。
舞踊の着付けのご依頼、教室のお問合せは下記より承っております。
衣裳方 古谷野 貢
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