皆様こんにちは。
岡山県倉敷市にて着付け塾を主宰しております古谷野貢(コヤノミツグ)です。
全国で衣裳方として各流派日本舞踊会を中心に活動する傍ら、現代の衣裳(振袖、婚礼衣裳、訪問着など)の着付師としても活動しております。
2023年からは「きつけ塾こやの」を主宰し、現場を飛び回りながら磨いた実践的な技術を、余す事なくお伝えしております。
さて本日は、男性の角帯結びでは定番の「貝の口(かいのくち)」について、少し深掘りしてみようと思います。
「名前は聞いたことがあるけれど、どこが“貝の口”なのか分からない」という声、実はよくいただきます。かく言う私も、初めてその名前を聞いたときには首をかしげたものです。
2023.07.07
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見た目だけじゃ分からない「貝の口」ってどんな結び方

「貝の口」は、角帯の結び方としては最もポピュラーなものの一つです。
男女問わず使える結び方ではありますが、現代では主に男性の帯結びとして定着しています。
結び目はシンプルで潔く、清潔感のある印象を与えるため、日常の装いから舞台、旅先や祭礼の装いにまで幅広く使われます。
また、長時間の着用や移動でも崩れにくいのも大きな魅力です。
帯の長さや厚み、締め加減によっても印象がガラリと変わるため、見た目の印象を繊細に調整することができます。
貝の口は実はここ

下から見上げると・・・
キレイに口が揃った貝になってますね!
「貝の口」という名前の由来は、下から見上げた時の二枚貝のような美しい形状にあります。
真似できそうで、出来ない。コレが簡単じゃない。
それが技術……。
体に二周回して、結び上げるまでの一瞬の間に、妙技がてんこ盛りな帯結びなのです。
シンプルだけど奥深い。「簡単そうで難しい」と言われるワケ

帯の長さや素材、締め加減によって印象ががらりと変わるのも「貝の口」の面白さです。
シンプルであるがゆえに、細かな違いがそのまま仕上がりの印象に直結します。
形だけ見るとシンプルに見える「貝の口」ですが、「ただ結ぶだけ」では収まりません。
そんな「貝の口」ですが、いざ自分で結ぼうとすると、「意外と難しい…」と感じる方が少なくありません。
というのも、たった数秒の間に必要な所作がいくつも詰まっているからです。まず、帯の長さは体型に合わせて微調整する必要があり、場合によっては巻く回数を変えることもあります。
また、結び終えたときに手先と垂れの長さが美しく揃って見えるように、見えない部分での細かな工夫が欠かせません。
さらには、関東巻きと関西巻きとで巻き方の向きが逆になるなど、地域や流派によっても違いがあります。こうした違いに応じて巻き方向や締め具合を変える判断力も、現場では問われるのです。
形だけを真似するのは簡単に見えて、実際には細部にわたる技術と経験が求められる。だからこそ「簡単そうで難しい」と言われるところなのです。
現代に息づく「貝の口」
「貝の口」は、現代でも幅広いシーンで活躍している結び方です。
見た目がすっきりとしていて、型崩れしにくいという特長から、長時間の移動やお稽古ごとの際にも安心して使えるのが魅力です。
また、最近では女性が半幅帯で「貝の口」をアレンジして結ぶケースも増えています。
無駄を削ぎ落とした美しさが、かえって洗練された印象を引き立ててくれる。そんな魅力がこの結び方にはあるのかもしれません。
シンプルこそ、極めるほど難しい

「貝の口」は、そのシンプルさゆえに、実はごまかしがききにくい帯結びです。
手早く、でも正確に。しっかり締めつつも、着る人にとって苦しくない仕上がりにする――その加減こそが、着付け師としての腕の見せどころだと思います。
何気なく見ている帯のかたちにも、実はたくさんの工夫と経験が詰まっている。そんなことを、少しでも感じていただけたら嬉しいです。
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